銃所持許可申請の取下げ

猟の朝は早い

この日、警察から呼び出しの電話があった。生活安全課に行くと開口一番、申請の取下げを勧められた。やはり家内の母親の病気(認知症)が同居親族にかかる欠格事由にあたり、このまま公安委員会に申請しても通る見込みがないという。銃が危ないものであることも忘れ、事故を起こす危険性があるので、寝たきりになるか、または施設に移るまでは難しい、というのだ。

確かに、同居の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)に、認知症者や是非判別・行動制御能力の著しく低い者があり、他人の生命・身体・財産や公共の安全を害したり自殺したりするおそれがあるときは、公安委員会は銃所持を許可しないことができる、とされている(銃刀法第5条5項)。家内の母親は姻族1親等にあたる。「許可しないことができる」というのは、許可することもできる、つまり公安委員会の裁量であるということだ。その意味で「相対的欠格事由」とされている。

では、例外的に許可されるのはどういう場合か。申請者が許可を受ける必要が高く、かつ危害予防上必要な措置が講じられたときは、許可することができる、とされている。例えば、銃を自宅に保管するのではなく銃砲店に保管委託する場合だ。これなら、同居の親族が持ち出す危険は一切ないので、許可するのに何の問題もないはずである。

そこで、申請の取り下げを勧める警察に対し、自宅保管はしないで東金の小幡銃砲店に預けることにするのでなんら問題はない、と申し入れてみた。すると警察は、「確かに銃砲店に預ける方法もありますが、ご自宅から東金まで1時間以上かかりますよね。銃猟免許はまだお持ちでないが、朝早く猟に行くのに、そんな遠くの銃砲店に預けて、店が開いているんですか?」

どうやら、あくまで警察としては申請の取下げをさせたいようだ。確かに猟の朝は早いので、よく考えたら現実的ではない。しかも先日の銃猟免許試験には落ちたので、今すぐ銃所持の許可を受ける必要が高いとは主張できない。今後のことを考えると、あまり食い下がって地元警察の心証を悪くするのも得策でない。ここはひとつ、こちらが折れるしかないか。言われるがまま、申請取下げと手数料放棄の一筆を書かされた。「今回は一旦取り下げますが、状況が変わったら再申請しますので、そのときはよろしく」と念を押して生活安全課を後にしたのであった。

ああ、これで銃の購入は一旦はキャンセル、ガンロッカーの購入は当分は無駄、ということになる。C師匠の顔をつぶすことになってしまった。

Follow me!

次の記事

キョン