キョンが狩猟鳥獣に指定されないワケ

珍しくオリにかかったキョン

昨日で今冬の狩猟期間が終わった。今日からは有害鳥獣駆除しかできない。その初日、キョンがかかった。ククリ罠ではときどき獲れるが、ハコ罠(オリ)にかかったのは昨年6月以来2回目で、しかも今回はキョンの大好物であるアオキを入れてなくても(米ヌカだけで)獲れた。ふつうは米ヌカだけではキョンはオリに入ってくれない。時期的に、よほど腹が減っていたのか?

キョンは狩猟鳥獣(狩猟で捕獲してよい鳥獣、現在、鳥類28種・哺乳類20種)には指定されていないので、どのみち狩猟はできず、有害鳥獣駆除でしか獲れない。ではなぜ、これだけ千葉県で大増殖して多大な農業被害をもたらしているキョンが、県や地元自治体の要請にもかかわらず、いまだに環境省から狩猟鳥獣に指定されないのか。狩猟鳥獣に指定して、狩猟でバンバン獲ればいいではないか。

それは、キョンの生息域が今のところ千葉県内に限られていることと関係している。そもそも狩猟鳥獣は、鳥獣保護管理法に基づき、国である環境省が全国一律に定めている。鳥獣保護管理法は、野生鳥獣(もちろんキョンも含まれる)の捕獲を原則として禁止しており、例外的に狩猟や有害鳥獣駆除等に限って捕獲を認めているのだが、キョンを新たに狩猟鳥獣に指定すると、それまで禁止されていた狩猟での捕獲が許されることになる。すると、狩猟圧により千葉県から県外にキョンを追いやったり、千葉県内で捕獲したキョンを県外で野に放つような不心得者が現れたりして、かえってキョンの生息域を拡大させ、農業被害を悪化させてしまうおそれがある。つまり千葉県だけの専売特許だったキョンがブラックバスやブルーギルのように全国区になってしまうという、というのが環境省がキョンを狩猟鳥獣に指定しない理由である。国は、キョンを千葉県に封じ込めておく作戦なのである。

もちろん、キョンは外来生物法で特定外来生物に指定されているので、保管や生きたままの移動、野外への放出が禁止されているため、キョンを他県に持ち込むこと自体が違法なのだが、残念ながら法律で禁止しても自分の身勝手な理由で平気で違反する者が後を絶たない。 イノシシはかつて千葉県内では1970年代に一度絶滅したが、その後放獣されて現在の大増殖に至った。狩猟を趣味とする一部のハンターが、イノシシがいなくなってつまらないという理由で、他県から持ち込んだという説がある。

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