永平寺受戒会(初日・その4)

寝るのも法堂(はっとう)の檀上前

午後7時からは、法堂(はっとう)の檀上にまします道元禅師をはじめとする歴代和尚様や、毘婆尸仏から釈尊までの過去七仏、阿難陀(あなんだ)から道元禅師の師匠である天童如浄までの五十仏を礼拝する法要(壇上礼・仏祖礼)が行われる(1日目から4日目まで)。これが授戒会期間中で唯一の激しい運動といってもよい。なにせ、立って拝礼・額づいて拝礼を50回以上も繰り返すのである。最も若輩の私でも辛い。70代・80代の参加者にとっては苦行に近く、ついて行けていない方も。30回あたりからは息が切れてくるし、腰も痛くなってくる。終わるとふらふらである。5日目からは夜のプログラムが道場に代わるため、この苦行はなくなる。

礼拝法要が終わると、大庫院(だいくいん)に移動して法話を聞く。その間に、雲水たちが法堂(はっとう)にふとんを敷いてくれるのである。この法話は、日中の説戒とは違って、法話の得意な地方のお寺のご住職が日替わりで個性豊かな話をきかせてくれる。終わるのが午後9時前であり、法堂(はっとう)に戻った順にふとんの位置を決められ、そこで寝ることになる。それゆえ、寝るふとんの場所は毎日違う位置になる。9時10分になると強制的に電気が消されるため、それまでに寝る支度をしなければならない。大急ぎで歯磨きや着替えをし、仕方なく布団に入る。ふだん寝酒の私は、お酒も飲んでいないのに9時過ぎに寝付けるわけがない。予想した通り、1時間たっても2時間たっても眠れない。疲れているので眠りたいのだが、3時には起きなければと思うと気になって余計に眠れない。お隣のいびきがうらめしい。結局、1日目の夜は悶々としてとうとう一睡もできないまま起床時間を迎えてしまった。

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