永平寺受戒会(2~4日目)

朝の坐禅会場

3時10分。無情の明かりがつく。30分後には朝の坐禅である。光明堂(こうみょうどう)という道元禅師との接見の間に移動し、座蒲(ざふ)という丸い座布団をもらい、壁に向かって座る。坐禅の作法を教わるのも私の大きな目的である。しかし、昨夜一睡もできなかったせいで、頭はぼうっとし、目もよく開けない。そんなことはお構いなしに、坐禅指導が始まった。まずは靴下や腕時計などを外し、座蒲の後ろに立つ。つぎに膝立ちとなり、座蒲を横から押してふくらませる。立ち上がり、隣の人と向かいの人に礼をして座蒲に座る。足は半跏趺坐(はんかふざ)という略式しか私はできない。手は法界定印(ほっかいじょういん)とよばれる丸い輪を指で作り、体をゆすって中心を決め、息を口から吐く。目は閉じてはいけない、45度下を見る。始まりを告げる鐘が鳴り、いよいよ坐禅が始まった。当然、眠くて集中できない。警策(きょうさく)という棒をもった僧侶がそばを通る。眠いときや妄想が収まらないとき、合掌して求め、打ってもらうのだ。打ってもらおうかどうしようか、迷っているうちに、終わりを告げる鐘が鳴ってしまった。正味10分である。思ったよりずっと短い。正式には一柱(いっちゅう)といって、一本のろうそくが燃え尽きるまでの約40分、と予め聞いていたからだ。しかし、この日は眠いので助かった。明日からは頑張ろうと思った2日目の始まりであった。

その後は、朝の法話(説教)、朝のお経(朝課)を経て、7時ころ朝食(小食)、その後は一列になって「南無釈迦牟尼仏」と唱えながら巡堂とよばれる歩行禅を行い、9時から午前の講義(説戒)、昼のお経(戒壇上供・午時献供)が終わると昼食(中食)、そしてまた歩行禅(巡堂)、午後の講義(説戒)、3時ころ入浴、晩のお経(晡時献湯)、夕食(薬石)と、5日目の夕方までほぼ同じプログラムで繰り返されていく。このように次から次へと修行があるので退屈することはない。1日に1時間くらいの休憩が1回と30分くらいの休憩が2回ほどある。その間は、皆さんお茶を飲んだり(飲み放題)、談笑したり、土産物売り場に行ったり、写真を撮ったりと人それぞれ過ごす。写真は法堂(はっとう)からの眺めである。

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