永平寺受戒会(最終・7日目)

法堂(はっとう)から見た光景

これにて受戒は完了であるが、夜も遅いのでもう一泊し、7日目の朝の坐禅と朝食(中食の扱いになる)の後、自由解散となる。9時半から完戒上堂と呼ばれる最後の法要があるが、これは出ても良いし出ずに帰っても良い。内容は小参(しょうさん)といって、参加した僧侶10人くらいが永平寺住職の大禅師の御前に一人づつ進んで質問し、お答えを頂くという問答である。一例を挙げると、嘘をついてはいけないという「不妄語戒」があるが他人を助けるために善意で本当のことを言わない場合でも「不妄語戒」に反したことになるのでしょうか?と若い僧侶が問うたところ、大禅師は「只管打坐」と一言で答えた。すると質問した僧侶は「吉祥、吉祥、大吉祥~」と言いながら満足そうに戻っていった。まさに禅問答である。これが30分ほどで終わると、すべての受戒会のプログラムが終了となり、皆さん家路につくのである。私は、いろいろ教えて頂いたベテランの方ひとりひとりに感謝の言葉を伝えずにはいられなかった。一期一会のつもりが、皆さんから「来年も来てくださいね」と言われ、つい泣きそうになった。長いようで短い1週間の非日常的な不思議な体験であった。自分の中で何かが確実に変わったことを実感しながら永平寺を下山した。来るときは知らなかったが、永平寺前と福井駅を結ぶ直行の大型バスの定期便があった(片道750円)。帰りはそれに乗って、皆さんと一緒に娑婆世界への帰途についた。

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