禁止猟法その1(網猟・わな猟)

矢は禁止猟法

法定猟法を用いる登録狩猟であろうと、法定猟法を用いない自由猟であろうと、銃器以外を用いる住宅敷地内猟であろうと、いずれにせよ狩猟捕獲において鳥獣保護の目的で禁止されている猟法がある。鳥獣保護管理法第12条第1項第3号を受けて施行規則が定める「禁止猟法」だ。ここでは網猟とわな猟に関係するものを見ていく。

一 ユキウサギ及びノウサギ以外の対象狩猟鳥獣の捕獲等をするため、はり網を使用する方法(人が操作することによってはり網を動かして捕獲等をする方法を除く。)
(解説)網猟の法定猟具のはり網について、ウサギを獲るためには張りっぱなしでよいが、ウサギ以外の狩猟鳥獣を捕るためには人が操作して動かして捕獲しなければならない、ということである。ウサギ目的以外、張りっぱなしだと何がどれだけかかるかわからないため、錯誤捕獲や過剰捕獲につながるからである。

七 同時に三十一以上のわなを使用する方法
(解説)わな猟について、ハコ罠やククリ罠などわなの種類を問わず、同時にかけられるわなは30個まで、ということである。過剰捕獲のほか、見回りなどの管理には限界があるため、いたずらに半矢(傷つけただけで逸失すること)を増やすおそれがあるからである。

八 鳥類並びにヒグマ及びツキノワグマの捕獲等をするため、わなを使用する方法
(解説)わな猟について、鳥とクマは罠では獲ってはいけない、ということである。いずれも過剰捕獲につながるからである。

十 ヒグマ、ツキノワグマ、イノシシ及びニホンジカ以外の獣類の捕獲等をするため、くくりわな(輪の直径が十二センチメートルを超えるもの又は締付け防止金具が装着されていないものに限る。)、おし又はとらばさみを使用する方法
(解説)わな猟について、イノシシとシカ以外を獲るときは、おしととらばさみは使えず、ククリ罠についても、①輪の直径が12センチ未満、②締付け防止金具あり、の2要件を満たすものしか使えない、ということである。①についてはクマの錯誤捕獲を防止するため、②については不必要な苦痛を与えず、また錯誤捕獲のリリースを容易にするためである。おしやとらばさみの禁止については錯誤捕獲を防止するためである。鳥とクマは罠では獲ってはいけないことを前提にしている。クマは錯誤捕獲すると危なくて生きたままリリースできないため、クマの足よりも輪の直径を小さくして、かからないようにするしかない。なお、千葉県では現在、①の輪の直径は15センチ未満に緩和されている。県内にはクマが生息していないためと思われる。

九 イノシシ及びニホンジカの捕獲等をするため、くくりわな(輪の直径が十二センチメートルを超えるもの、締付け防止金具が装着されていないもの、よりもどしが装着されていないもの又はワイヤーの直径が四ミリメートル未満であるものに限る。)、おし又はとらばさみを使用する方法
(解説)わな猟について、イノシシとシカを獲るときは、おしととらばさみは使えず、ククリ罠についても、①輪の直径が12センチ未満、②締付け防止金具あり、③よりもどしあり、④ワイヤーの直径4ミリ以上、の4要件を満たすものしか使えない、ということである。上の十に比べ、③と④の要件が加重されているのは、大物ゆえにワイヤーのキンクや断裂を防止するためである。

十一 つりばり又はとりもちを使用する方法
(解説)過剰捕獲を防止するためである。

十二 矢を使用する方法
(解説)以前は「弓矢」を使用する方法とされていた。従来よりクロスボウは弓矢にあたるとされていたが、吹き矢や水中銃は「弓」を使わないので疑義があり、「弓矢」→「矢」に変更された。命中率が低く、いたずらに半矢を増やすからである。

なお、これらの禁止猟法とは別に、はり網のうち棚糸を有する「かすみ網」を使用するには国(環境大臣)の許可が必要となる(第9条1項3号、施行規則第6条)。

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