かぶせカゴ

かぶせカゴ

かぶせカゴを使うのは自由猟法にあたるか。
かぶせカゴは、カゴを逆さにして下にエサを撒き、自動または手動でカゴを落としてかぶせとる古来の猟法である。逆さにしたザルのつっかえ棒に結んだヒモをタイミングよく引っぱってザルをかぶせスズメをとるのが典型である。

これも自由猟法にあたれば、狩猟免許も行政庁の許可もなしに、狩猟鳥獣の捕獲又は殺傷が可能となる。

まず、わなの定義が問題となる。一般的に、「わな」とは仕掛けられた側が知らず知らずのうちに被害を受けることを目的として密かに講じた手段、とされている(ウィキペディア)。この定義によれば、対象をだまして捕らえる要素があれば広く「わな」にあたることになる。かぶせカゴはもちろん、例えば据銃(すえじゅう)や陥穽(落とし穴)も対象をだまして捕らえる要素があるので「わな」の一種になる。

ところが、鳥獣保護管理法の解説では、「わな」とは鳥獣捕獲の目的をもって自動的・他動的に鳥獣の脚・頚部等を挟み、もしくはくくり、または鳥獣を圧殺もしくは閉じ込めるよう作製された器具をいう、とやや狭く定義されている(環境省)。これによれば、対象の一部を挟むかくくって捕らえる、または対象の全体を圧殺するか閉じ込めて捕らえる要素のあるものだけが「わな」にあたることになる。かぶせカゴや陥穽(落とし穴)は全体を閉じ込めるので「わな」の一種になるが、据銃(すえじゅう)については「わな」ではないことになろう(禁止猟法ではあるが)。

次に、「わな」という法定猟法で使用される法定猟具は、ククリ罠・ハコ罠・ハコ落し・囲い罠の4つである。鳥獣保護法の解説では、「ハコ罠」とは木又は金属板などで箱型に作り、中に入り込んだ鳥獣が内部のエサをくわえて引くか踏み板を踏むと、入口の支えが落下して箱の中に閉じ込める装置をいう(環境省)。従って、メジロなどの捕獲に使われる「おとしカゴ」はハコ罠にあたるが、かぶせカゴはあたらない。また、「ハコ落し」はいわゆる「おし」を組み込んであるものをいう(環境省)から、かぶせカゴはこれにもあたらない。従って、法定猟具を使わないのであるから法定猟法にはあたらない。

では、禁止猟法や危険猟法についてはどうか。かぶせカゴは人の生命・身体に危害を及ぼすおそれはないので危険猟法にはあたらない。しかし、過剰捕獲の防止のため、鳥類とクマを「わな」で捕獲することは禁止猟法とされている。ここでは法定猟具としての4つの「わな」にはあたらなくても環境省の上記定義にいう「わな」にあたれば禁止されるため、結局、かぶせカゴでスズメなどの鳥類を捕獲することは許されないことになる。他方、かぶせカゴで獣類(クマ以外)を捕獲することは自由猟法として無免許・無許可でできることになろう。

但し、「狩猟」でできないことは自由猟法でもできないから、狩猟可能期間・狩猟可能区域において行うことが条件となる。従って、原則として11月15日から2月15日までしかできないし、鳥獣保護区や休猟区でもできないことに注意が必要だ。

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