ククリ罠×イノシシ第2号

この牙でやられたらひとたまりもない

この日、私は会議で自宅から遠く離れた横浜にいた。そこにお隣のM先生からまた電話がかかってきた。「また、同じところにかかってますね」。直ぐには家に帰れない。そのときC師匠がタイミングよく我が家に来たらしい。昨日ハコ罠(檻)にかかったイノシシの解体を手伝おうと、私がいないのを知らずに来てくれたのだった。そこでM先生から話を聞いたC師匠が現場に見に行くと、6日前と同じククリ罠にかかったデカいイノシシがワイヤー元を中心に暴れまわっていて、地面がすり鉢のように掘られていた。今までの3頭の中でも一番の大物だ。しかもワイヤーは爪先にかかっているだけで、いつ外れてもおかしくない状態。おまけにごらんの牙があり、こんなので噛まれたらひとたまりもない。数年前の猟師の死亡事故が頭をよぎる。結局またC師匠がやりで止め刺しすることになる。動かなくなるまでに1時間もかかった。M先生の息子を呼びに行き、大人3人がかりでやっとのことで我が家まで運んだ。C師匠でさえ「とても怖かった」。以上があとから聞いた話だ。

帰宅してみると、なるほどデカい。これは肉がたくさん取れるぞと思ったが、私の代わりに止め刺ししてくれた上に内臓まで出してくれたC師匠にお礼として丸ごと譲ることにした。例のリヤカーにのせて車でけん引し、C師匠の家まで運んだ。喜んで引き取ってくれた。

ところが次の日、C師匠から電話がかかってきた。いわく「解体してみたが、肉に血が回っていて食えない。半分は犬のエサで、後は廃棄!」結局、またC師匠に徒労させただけに終わってしまった。

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